学術情報
緊急公開シンポジウム「ネパール地震と雪氷災害ー現状把握と復興に向けて」(2015年7月18日 法政大学市ヶ谷キャンパス)
ランタンプランの現地活動報告会の詳細が決定しました。
日本雪氷学会他との共催で、貞兼代表の現地活動報告を基調講演として、各界の研究者からの報告や今後の調査計画をお話しいただき、ネパールの復興支援に向けた方向性を探ります。
多くの方のご参加をお待ちしています。
以下、ご案内です。
緊急公開シンポジウム
「ネパール地震と雪氷災害ー現状把握と復興に向けて」
今年4月25日にネパールで発生した巨大地震は,その土地に暮らす人たちの日常生活を奪いました。中でも首都カトマンズの北方に位置するランタン村は,村の上方に位置する氷河の崩落によると思われる雪崩に襲われ,人口の約4分の1にあたる百七十八人の村人と数多くの旅行者が犠牲となりました。
本シンポジウムでは,震災後現地に入り,村の再建に向けて支援を続けているNGO・ランタンプランの現地報告を基調講演とし,自然災害に各方面から関わる研究者それぞれの取り組みと今後の調査計画を取り上げ,ネパールの復興に向けた方向性を探ります。多くの皆様のご参加をお待ちしております。
日時:2015年7月18日(土) 13:00〜17:00(12:30開場)
場所:法政大学市ヶ谷キャンパス(55•58年館,531教室)
参加費 無料,申込不要
主催:公益社団法人日本雪氷学会
共催:突発災害科研費「2015年ネパール地震と地震災害に関する総合調査」調査チーム,防災科学技術研究所,新潟大学災害・復興科学研究所,公益社団法人日本地すべり学会,NGO・ランタンプラン
プログラム
◆学会長挨拶・趣旨説明
◆基調講演
ネパール・ランタン村の地震被害と復興に向けた歩み〜ランタンプラン活動報告
NGO・ランタンプラン代表 貞兼綾子
◆第1部 学術報告「地震によるネパール山間部の雪氷災害を探る」
1. 氷河崩落によるランタン谷の雪氷災害
北海道大学低温科学研究所准教授 白岩孝行
2. 衛星データの災害復興支援への利用について
宇宙航空研究開発機構(JAXA)研究員 永井裕人
3. ネパール山間部で発生した雪崩災害
新潟大学理学部准教授 奈良間千之
4. ランタン村を襲った岩屑なだれと雪崩
山形大学地域教育文化学部教授 八木浩司
5. ランタン谷で発生した土砂・雪氷災害の調査計画について
防災科学技術研究所雪氷防災研究センター センター長 上石勲,主任研究員 山口悟
◆第2部 パネルディスカッション
「ネパール復興に向けた今後の取り組みについて〜ランタン村を例に〜」
進行役:新潟大学災害・復興科学研究所准教授 河島克久,法政大学社会学部准教授 澤柿教伸
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ランタン谷復興支援シンポジウム(2016年1月10日 JICA国際会議場)
今夏7月18日、緊急公開シンポジウム「ネパール地震と雪氷災害」@法政大学が開催されました。ご案内のシンポジウムは、夏のシンポのすぐ後に編成された調査チームの報告です。10月初旬からおよそ1ヶ月間、名古屋大学藤田耕史さんを中心に、議論に加わった雪氷や防災などの専門家が参加しました。’村人の帰村をサポートします’と銘打ったかつてない[気合の入った]もの。チームのミッションは、ランタン村を襲った悲劇の実態解明と村人がもっとも待ち望む「より安全な村の位置」を示すハザードマップの提示。帰国後もデータの解析が進められていますが、1月10日のシンポでは明らかにされるものと思います。貞兼もチームに同行し、現地滞在中に牧畜復興を目指した「ゾモファンド」を始動させました。
以下、ご案内します。来年のカレンダーに参加の予定を入れておいてください。また、拡散に協力いただけると幸いです。
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「2015・大なだれ、悲劇の実態と復興に向けて」
日時 2016年1月10日(日)13:00〜17:00(開場 12:30)
場所 JICA国際会議場 http://www.jica.go.jp/hiroba/about/map.html
参加費 ¥1000
プログラム
1. 兵頭 渉(大阪市立大山岳会OBランタンリ遠征隊)
「山が崩れ、村が埋もれたーランタン谷20150425」
2. 藤田耕史(ネパール・ランタン谷における雪氷土砂災害調査隊)
「現地調査報告・ランタン村に何がおきたか?」
3. 貞兼綾子(ランタンプラン)
「大なだれとゾモたち」
4. 主要山岳6団体の募金状況と今後の取り組み
5. ディスカッション&質疑応答
主催:ランタンプラン
共催:ネパール・ランタン谷における雪氷土砂災害調査隊 [J-RAPID] /2015年ネパール地震と地震災害に関する総合調査隊 [文科省科研費特別研究促進費]
後援:公益社団法人日本山岳協会・公益社団法人日本山岳会・
日本勤労者山岳連盟・日本山岳ガイド協会・
日本ヒマラヤ協会・
日本ヒマラヤン・アドベンチャー・トラスト
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「2015年ネパール地震と地震災害に関する総合調査」最終報告会(2016年3月7日 東京大学本郷)
2015年4月25日にネパールのゴルカ地域を震源とするマグニチュード7.8の地震が発生し、1万人近い犠牲者が出るなど甚大な被害がもたらされました。この地震の総合的な調査のために、文部科学省科学研究費補助金(特別研究促進費)の助成を受けて、「2015年ネパール地震と地震災害に関する総合調査」を実施してきています。調査分野は、「土砂災害」、「雪崩災害」、「地震・強震動」、「活断層・変動地形学」、「災害対応における国際協力、文化財保全及び社会的影響」の5分野です。
本報告会では、各分野の調査内容に関して研究機関内の最終まとめという形で発表いたします。多数の方に参加頂けますようご案内申し上げます。
記
主 催 文部科学省科研費「2015年ネパール地震と地震災害に関する総合調査」研究班
日 時 2016年3月7日(月), 13:05〜17:00
場 所 東京大学本郷キャンパス・情報学環・福武ホール
参加申込み 事前登録必要なし(参加自由です、ただし受付で参加カードに記載してもらいます)
参加費 無料
「プログラム」
13:05〜13:10 調査方針と活動概要の説明 (研究代表:矢田部龍一)
13:10〜13:35 基調講演 「2015ネパール・ゴルカ地震の被害概要とネパール政
府の復興への取り組み」
ネトラ・プラカッシュ・バンダリ(愛媛大学大学院理工学研究科)
13:35〜17:00 5部門からの研究報告 (持ち時間17分, 12分発表, 5分質疑)
1.2015年ネパール・ゴルカ地震震源域のミッドランドではなぜ斜面崩壊が少な
かったのか?
長谷川修一(香川大学工学部), 野々村敦子(香川大学工学部),
Ranjan Kumar Dahal(Tribhuvan Univ.)
2.2015ネパール・ゴルカ地震による道路沿いの斜面災害の特徴
矢田部龍一(愛媛大学大学院理工学研究科),
ネトラ・プラカッシュ・バンダリ(愛媛大学大学院理工学研究科)
3.2015年ネパール・ゴルカ地震の稠密アレイによる余震観測
佐藤比呂志(東京大学地震研究所)), 蔵下英司(東京大学地震研究
所)), 酒井慎一(東京大学地震研究所)), 平田 直(東京大学地震研究所)),
八木浩司(山形大学), Ananta Prasad Gajurel(トリブバン大学), Danda
Pani Adhikari(トリブバン大学), Krishna Subedi(ネパール科学技術院),
Bishal Nath Upreti(ネパール科学技術院)
4.ゴルカ地震系列のカトマンズ盆地の強震記録
高井伸雄(北海道大学), 重藤迪子(北海道大学), 他
5.2015年ネパール・ゴルカ地震の震源地域の活断層調査
熊原康博(広島大学大学院教育学研究科), Deepak Chamlagain (Tribhuvan
University), Ishiyama Tetsuya (Tokyo University), Daisuke Hirouchi
(Shinshu University), Nobuhisa Matta (Okayama University), Bishal Nath
Upreti (Nepal Academy of Science and Technology
6.2015ネパール・ゴルカ地震によるランタン谷の雪・土砂なだれ調査
山口 悟(防災科学技術研究所), 西村浩一(名古屋大学), 藤田耕史(名古屋
大学), 和泉薫(新潟大学), 河島克久(新潟大学), 伊藤陽一(防災科学技術
研究所), 上石 勲(防災科学技術研究所)
7.2015年ネパール・ゴルカ地震による都市景観の変容予測
竹内 泰(東北工業大学工学部建築学科)
8.2015年ネパール地震における国際医療支援の実態
高田洋介(人と防災未来センター)
9.2015年ネパール・ゴルカ地震における人的被害の分布と影響要因
村上ひとみ(山口大学), 安藤尚一(政策研究大学院大学)
10.ネパール地震被災地の災害対応に学ぶ防災の可能性
渥美公秀(大阪大学), 研究協力者:河村信治(八戸高専), 稲場圭信(大阪大
学), 乾陽亮(大阪大学)
11.2015ネパール・ゴルカ地震における伝統的中庭空間の避難時の利用実態
ー世界遺産カトマンズ・パタン地区を対象としてー
大窪健之(立命館大学・歴史都市防災研究所),サキャ・ラタ(東京大学),
金 度源(立命館大学),高杉三四郎(立命館大学)
12.ネパール地震の社会的影響―社会再編かコミュニタス的高揚か
南 真木人(国立民族学博物館)
17:00 閉会
[blogcard url=”http://www.seppyo.org/articles/news2016/jz0dph”]
2017.6.2 名古屋大・法政大プレスリリース(日本の研究.com)
名古屋大学大学院環境学研究科(研究科長・岡本耕平)の藤田耕史(ふじたこうじ)准教授らの雪氷圏研究グループは、2015年4月に発生したネパールのゴルカ地震にともなう大なだれによって壊滅したランタン村において、ドローンやGPSをもちいた災害調査をおこない、大なだれ直後に撮影されたヘリコプター写真を利用した解析からなだれの堆積量を見積もりました。さらに、ユトレヒト大学(オランダ)、国際山岳開発研究センター(ネパール)によって観測された気象データを解析し、2014/2015年冬季に降り積もった大雪が100年から500年に一度の規模であり、なだれの規模を増幅させていたことを明らかにしました。
ゴルカ地震はネパールに大きな被害をもたらしましたが、なかでも首都カトマンズから北へ70kmのランタン谷で発生した大なだれの被害はすさまじく、ランタン村はほぼ壊滅状態となり、死者行方不明者は350名以上に達しました。1980年代よりこの地にて氷河観測を継続していた名古屋大学の雪氷圏研究グループは、科学技術振興機構(JST)のJ-RAPIDの支援を受け、国立研究開発法人防災科学技術研究所(NIED)などと共同でランタン村における現地調査をおこない、大なだれの堆積量を681万立方mと見積もりました。この大なだれの原因を明らかにすべく、前年からの冬季に観測された気象データを解析したところ、5000m付近で約1.5mの積雪があったことがわかりました。ヒマラヤは通常、冬季は乾期に相当するため、これほどの積雪があることは滅多にありません。過去のデータと比較して見積もったところ、この冬季の降雪量は100年から500年に一度という、極めて希な豪雪であったことがわかりました。
本研究成果は、欧州地球科学連合の科学誌「Natural Hazards and Earth System Sciences」において、2017年5月22日に出版されました。
[blogcard url=”https://research-er.jp/articles/view/58789″]